ストレートナレーション、さらっと読むは、さらっと表現しているのではない

台風、豪雨、熱中症、そして地震。
自然の猛威を前に、人間の力の小ささを感じる今日この頃です。
それでも、備えられることは備え、助け合えるところは助け合いながら、力強く生きていくことが大切なのだと思います。
まずは非常用食材の確認をしようと思ったのですが、賞味期限の切れたパンパンに膨らんだカップ麺を発見し、備え以前に自分の管理能力と向き合うことになりました。今日の食事はカップ麺。 20期・春コアの杉田です。

さて今回は、目黒先生による「モダンストレート」の授業を振り返ってみたいと思います。

「モダンストレート」とは、文字どおり「現代のストレート」を意味するそうです。

目黒先生によると、バーズでは近年、ストレートナレーションの教育に力を入れ、研究を重ねているとのこと。

先生ご自身も、
・邪魔にならない読み
・違和感を与えない読み
・どこか引っかかりのある読み
を心がけているそうです。

日本語の情報を自然に伝えるストレートナレーションは、さまざまなジャンルへ応用できる、非常に重要な技術です。

ただし、「今風のストレート」と一口に言っても、きっぱり分類できるものではありません。
現在のナレーションは、報道、ドキュメンタリー、バラエティ、情報番組など、さまざまなジャンルの表現が混ざり合い、互いに影響しながら変化しているからです。

ストレートナレーションでは、
高低・緩急・強弱・間
を巧みに使いながら、情報をわかりやすく届けていきます。

・高低
声の高さの変化は、アクセントとして効果的に使います。
ただ上下させるのではなく、どこで変化をつけるかが重要です。

・緩急
緩急は、原稿全体のスピードだけではありません。
一つの文章の中にも、速く進む部分と、ゆっくり聞かせる部分があります。

・強弱
情報の中で重要なものを立てるために使います。
強く言うだけではなく、あえて引くことで、別の言葉を際立たせることもあります。

・間
無音の部分も表現の一つです。
意図的に間を作ることで、言葉以上に雄弁に何かを伝えることもできます。

これらを使いながら、聞き手を置いていかず、情報を整理して届ける。
さらっと聞こえるストレートの裏側では、実は多くの技術が働いているのだと感じました。

先生は、
ナレーションを構成する要素の中で、技術はほんの数%かもしれない。
と仰いました。
しかし、その数%がなければ、自分を評価して起用してくれた人の期待に応えることはできません。
まずは、ナレーションらしい発声や響きを手に入れること。
そして、音の資料をもっと集めること。

今、実際に番組を担当しているナレーターがどのように読んでいるのかを、もっと研究する必要があるとのことでした。

授業ではまず、以前の授業でも扱った日本語の韻律を確認しながら、音の変化に沿って正しく読む練習をしました。

先生は、ご自身の現場での経験を交えながら、
現場では十分に下読みできないことも多い。
と教えてくださいました。

それでも、日本語にはある程度決まった流れがあります。
内容と音程の変化をつかめていれば、初見の原稿にも対応しやすくなるそうです。

日本語は、文末に結論が来ることが多い言語です。
その構造を理解し、結論を予測しながら読むことで、初見でも文章の流れを見失いにくくなるとのことでした。

ただし、ナレーターとして表現することは大切でも、過剰にやりすぎてはいけません。
自然に伝わりながら、表現としても成立させる。
このバランスが、ストレートの難しさなのだと思います。

続いて、起承転結がわかりやすい文章を一人ずつ読み、フィードバックをいただきました。

特に印象に残ったアドバイスは、次のようなものでした。
・ストレートナレーションには滑舌が必要
・さまざまな文章を読む練習をする
・滑舌の良い人の音をシャドーイングする
・誰に伝えているのかを意識する
・聞き手を置いていかない
・速い読みでも、句読点や間を工夫してリズムを作る
・文脈を整理して意味を届ける
・自分の声に合うジャンルを探す
・文末の結論を確認しながら読む
・原稿が言いたいことを最後までぶらさない

次は、三つのブロックに分かれた原稿です。
まずは内容を把握し、
・導入
・展開
・結論
という流れを理解します。

さらに、シーンの変化、映像の切り替わり、BGMまで想像しながら読み分けていきます。
現場では、自分が想像していなかった曲調のBGMが入ることもあるため、その場で対応する瞬発力も必要になるそうです。

「重い映像だろう」と思って読んでいたら、急に軽やかな音楽が流れてくるかもしれない。
現場では、こちらの脳内演出に制作側が合わせてくれるわけではありません。
どのような演出が来ても対応できるように、表現の幅を持つ必要があります。

報道の現場では、映像を見ずにナレーションだけを先に収録することも多いそうです。
そのため、原稿から映像の展開を想像し、場面ごとの違いをしっかり読み分けることが重要になります。

その土台となるのが、良い響きです。
まずは安定した声を作り、その上でさまざまなシーンを表現できるよう、引き出しを増やしていく。

今回の授業では、名乗って録音し、その音声を聞きながらフィードバックをいただいた後、もう一度読むという流れで進みました。

自分ではできているつもりでも、録音を聞くと想像とは違う。
録音は非常に正直です。

目黒先生は、
他人のプレイを聞き、自分で考えることが非常に大切。
と仰いました。

コアの授業で教わった知識は、一つひとつが断片のように感じることがあります。
しかし、実際の原稿を読む中で、
「ここでは、あの授業で教わった技術が使える」
と結びつけていくことが大切なのだそうです。

発声とのバランスを整えながら、さまざまなジャンルの表現を観察し、自分の中に取り入れる。
そして文脈を考え、メリハリと流れを意識する。
先生は、私たちに表情豊かなナレーターを目指してほしいと語ってくださいました。

ナレーションには、それにふさわしい「それらしい声」があります。
先生は、スポーツ選手が道具をそろえることで、それらしい姿になっていくことを例に挙げました。
ナレーターも同様に、
・それらしい声
・ナレーションの型
・表現のパターン
を手に入れ、研究することが大切です。

初めて見る文章に戸惑ったとしても、ミラーリングによって正解例を蓄えておけば、判断の手がかりになります。
ここでも改めて、ミラーリングの重要性を教えていただきました。

同じ話題を扱うニュースでも、放送される時間帯や番組によって表現は変わります。
朝の番組なのか、昼なのか、夜なのか。
同じ時間帯でも番組によって表現は変わります。
その番組が何に焦点を当てているのかを理解することも重要です。

文章の内容だけを見るのではなく、その原稿がどのような場所で、誰に向けて使われるのかまで考える必要があるということでした。

先生が特に強く仰っていたのが、声の大切さです。
ナレーターにとって、まず一番大切なのは声。
名乗りの声、そして第一声が非常に重要です。
どれほど原稿を理解し、工夫して読んだとしても、声そのものが埋もれてしまえば、聞き手には届きません。

ナレーションの流行や求められる表現は、時代とともに変わっていきます。
そんな中でも、
最後に自分を守ってくれるのは、自分の声。
だからこそ、折れずに、自分の声をかわいがりながら育ててほしいと仰いました。
とても印象に残る言葉でした。

ストレートナレーションは、一見するとさらっと自然に読んでいるように聞こえます。

しかし実際には、
・日本語の構造を理解する
・結論を予測する
・文脈を整理する
・高低、緩急、強弱、間を使う
・映像やBGMを想像する
・番組や時間帯、演出に合わせる
・聞き手を置いていかない
といった、多くのことをさりげなく処理しています。

つまり、
「さらっと読む」は、決してさらっとできるものではない。
ということです。

声によって、はまりやすいジャンルとはまりにくいジャンルもあります。
だからこそ、自分の声と表現の方向性を研究し、得意分野を見つけ、そのジャンルでナレーションを極めていく。
そして、レギュラーを獲得できたら、そのご縁を大切にする。

今回の授業を通して、モダンストレートとは単に平らに読む技術ではなく、現代の番組に合わせて多くの情報を自然に処理し、聞き手へ届ける技術なのだと学びました。

まずは自分の声を育て、さまざまなプレイを聞き、ミラーリングを重ねながら、表現の引き出しを増やしていきたいと思います。

目黒先生、貴重なご指導をありがとうございました!