うだるような暑さが続く今日この頃。
振り返ってみると、ここ数年「夏らしいこと」をほとんどしていません。
海、花火、夏祭り、かき氷――候補はいろいろ浮かぶのですが、外に出た瞬間、夏のほうから「無理しなくていいよ」と全力で拒絶してきます。 というわけで今年も、酷暑日を正当な理由として、冷房の効いた部屋で引きこもる所存です。
20期・春コアの杉田です。
さて今回は、義村学長による「華品毒のある表現」の授業を振り返ってみたいと思います。
「華品毒」は、バーズ最初の授業「守破離」で教わる「売れるための17か条」の一つです。
言葉としては印象的ですが、
華とは何か。
品とは何か。
毒とは何か。
いざ説明しようとすると、なかなか難しい。
今回の授業は、そんな疑問だらけの「華品毒」について、実践と考察を交えながら理解していく内容でした。
義村学長曰く、
華品毒は、17か条の中でもコアとなる部分。
ナレーターの魅力を考える上で、非常に重要な要素なのだそうです。
最初の課題は、事前にいただいた詩を「華・品・毒」のいずれかをイメージして読むというもの。
読み手は、自分がどの表現を選んだかを伏せたまま読みます。
その後、ほかの生徒が
華に聞こえた
品に聞こえた
毒に聞こえた
と判定し、なぜそう感じたのかを発表していきました。
本人は「華」のつもりでも、聞き手には「品」に聞こえたり、「毒」のつもりが別の印象になったりします。
自分が表現したつもりのものと、相手が受け取るものは同じとは限らない。
読み手にその意図がなくても、聞き手の中で別の意味へ変換されることがある。
表現とは、こちらが出した時点で完成するのではなく、相手に届いて初めて成立するものなのだと感じました。
文学作品を読むと、私たちはつい繊細に意味を解釈し、似たような朗読表現になりがちです。
しかしプロのナレーターには、
そこからどう外れていくか。
テキストの意味をなぞるだけではなく、方向性を明確に打ち出す。
そのための指針となるのが「華品毒」なのだそうです。
実践を一巡したところで、学長から改めて「華・品・毒」について説明がありました。
まず「華」。
華は、特にバラエティにおいて重要な要素です。
・声の存在感
・明快な雰囲気
・大胆な張り
・巻きのスピード感
・パワフルな飛び込み
・明るさ
・楽しさ
・爽やかさ
・グルーヴ感
・若々しさ
などが「華」の要素として挙げられました。
次に「品」。
品は、華にも毒にも必要な要素であり、すべてに共通するものだそうです。
・端正なストレート技術
・声の質
・爽やかさ
・清らかさ
・柔らかさ
・丁寧さ
・気高さ
・誠実さ
・ウィスパーのセンス
などが挙げられました。
一方で、「品」だけで成立させるのはプロにとっても非常に難しいとのこと。
品を意識するあまり、小さくまとまり、平凡な表現に埋没してしまう。
それは「品」ではなく、
華も毒もない「ダメ品」。
品を表現として成立させるには、まず声を鍛え、基礎力を高める必要があると教えていただきました。
そして「毒」。
毒はバラエティにおいて非常に重要で、作り手にも届きやすい表現だそうです。
・批判精神
・笑い
・エスプリ
・いたずら心
・色気
・エロにより過ぎないエロ
・ヒップホップ
・パンク
・ホラー
など、毒には非常に幅広い表現があります。
毒と聞くと、悪意や攻撃性を想像してしまいますが、それだけではありません。
ウィットやユーモア、少し意地悪な視点、思わず引っかかる違和感。
そうしたものも毒になる。
そして何より、
人間は毒が好き。
確かに、きれいなものだけでは物足りない。
ほんの少しの毒が入ることで、表現は急に魅力的になります。
毒は声質だけではなく、テキストの捉え方や工夫でも作れるとのことでした。
実際のトップナレーターの音声を聞きながら、それぞれの表現が華品毒のどこに位置するのかを学びました。
学長はナレーターごとの特徴を分布図にして、
どの要素が強いのか
なぜそう聞こえるのか
どのような技術が使われているのか
などを解説してくださいました。
実例を聞くことで、曖昧だった華品毒の輪郭が少しずつ見えてきました。
説明を受けた後、今度は憲法前文を華品毒のいずれかで読むという課題に挑戦しました。
ポイントは、
意味にとらわれすぎず、方向性を明快に表現すること。
憲法前文という、意味を丁寧に伝えたくなる文章を、華や毒の方向性で読む。
しかし、トップナレーターの実例を聞き、解説を受けた後だったため、最初の詩を読んだときとはクラス全体の表現が大きく変わりました。
学長からいただいたフィードバックの中で、特に印象に残ったものがあります。
・張って巻くには、スピード感と滑舌力が必要
・ストレートには基本技術が必要
・毒には、さらに工夫と引き出しが必要
・中途半端にせず、まずはオーバーに表現する
華品毒は気持ちだけでは成立しません。
大胆に表現するためには、それを支える基礎力が必要なのだと改めて感じました。
最後は、三つの段落からなる詩を「華・品・毒」でそれぞれ読み分ける課題です。
ここまで学んだものを総動員し、段落ごとに表現を切り替えていきます。
これが非常に難しい。
華のつもりが品になったり、毒のつもりが少し不機嫌な人になったり。
表現を変えたつもりでも、聞き手には変化が伝わらないこともありました。
自分の基礎力の低さと、引き出しの少なさを痛感しました。
学長が今回、文学的な文章を教材として選んだのには理由がありました。
・意味にとらわれすぎないこと
・読みの方向性を重視すること
・スタイルや引き出しをもっと出すこと
の必要性を感じてほしかったからだそうです。
文章の意味を丁寧になぞるだけでは、みんな似た表現になってしまう。
意味と表現を一度分離し、大胆に方向性を打ち出す。
その感覚を身につけるための課題だったのだと思います。
華品毒を明確に表現するには、トッププレイヤーの表現をたくさん聞き、
なぜそう聞こえるのか。
を考えることが必要です。
そして、ナレーションだけではなく、音楽や映画、演劇、ファッションなど、さまざまなジャンルに触れ、表現の引き出しを増やす。
その上で意味から一度離れ、大胆に表現する。
しかし、それを成立させるためには基礎力が欠かせない。
だからこそ、まずはミラーリングをきっちりできるようになることが重要だと語ってくださいました。
今回の授業を通して、「華品毒」は単なる三つの読み方ではなく、
ナレーターとして、どんな印象を相手に届けるのか。
を考えるための方向性なのだと感じました。
細かいディテールにとらわれる前に、まず全体の印象を明確にする。
まずは聞き手に伝わるくらい、大胆に表現すること。
その上で、作為的に見えないよう技術を磨いていく必要があります。
非常に難解な「華品毒」を、学長はユーモアを交えながら、楽しく、そして明快に教えてくださいました。
もっとトッププレイヤーの表現を聞き、基礎力を鍛え、さまざまな表現に触れながら、自分の中に華品毒の引き出しを増やしていきたいと思います。
義村学長、貴重なご指導をありがとうございました!