感情ベースの表現から離れる

こんにちは、声ナレクラス、小津ミワです(^^)。
トビー上原さんの「朗読とナレーションの違い」のレッスンを受けての感想です。
様々な面で「朗読」と「TVナレーション」を比較した結果、元々声優や役者をしていた方であっても、演技的表現をベースにしたアプローチではない方がTVナレーションには向いている、という結論でした。最近私もそうではないかと思い始めて、感情ベースの表現から離れようとしていたところだったので、自分の中でははっきりと言語化できていなかったことを論理的に説明してもらえて、とても納得しました。

そもそもどうして朗読とナレーションを比較するのかなぁと少々不思議に思っていたのですが、役者・声優をされてきた大御所の方々の中には「ナレーションは朗読と同じ」という考えを持つ方がいらっしゃるようで(!)、そこを明確に区別・対比することでナレーションをより理解するため、そしてここで言うナレーションとは「TVナレーション」に限定するのが前提とのこと。私は「ナレーションと朗読は同じ」と思ったことは一度もなかったので、そんな暴論を振りかざす方もいるんだ…!と、ちょっと驚きました。まず朗読とナレーションの大きな違いとして説明していただいたのは、「朗読は”世界観を声で表現し完結する”が、TVナレーションは”あくまで映像がメインで、それを補完することが目的”である」こと。当然と言えば当然ですが、そもそもの目的が全く違う。それを一緒くたで語ろうとするなんて横暴なのでは…?とは、大きな声では言えないん…でしょうか(笑)

そして私がこのレッスンで一番印象に残ったのは「達成感とクオリティの乖離」についてです。自分では「いい感じでできた!」と思っても、実際聞いてみると全然満足いくものじゃなかったり、逆に全然ダメだったと思っても、周りからの評価はよかったり…。自己評価と他者からの評価が一致しないことは、皆さんご経験があるんじゃないかと思います。この乖離の理由は、「今日はやり切った!」と自分自身が感情的に満足している時ほど自分を客観的に見れていないことが多いから。「他人が聞いてちゃんと”そう聞こえる”」ことが大事で、それが本当に良い表現である。ただ、他人にどう聞こえているかは、やはり自分ではなかなか気付きにくいなと思いました。また、最初は感情をベースにしない表現に違和感があったとしても、そうした訓練を繰り返すことで、後から感情はついてくるようになる、「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい」は心理学的にも証明されているのでまずは行動することが大事、とのこと。ナレーションはテクニックの要素が多いので、演技的要素がなくでもできるという結論でした。

とても情報量が多くてまるで大学の講義のようでした。(そのため私の感想も長めです…><;)自分が気付き始めていたことを、ちゃんと理由をもって説明してもらえて私は大変満足しました!(トビーさんご自身の評価はわかりませんが…笑)アングラ表現で詩を読んだ時のパワーに圧倒されました!収録のためアフターをご一緒できなかったのが心残りです。トビーさん、本当にありがとうございました!