大江戸さんによる『緩急のパターン』

17期秋モード土の斉藤あずさです。全3回にわたる大江戸さんの授業が終わりました。

大江戸さんの授業は、ミラーリング。
初回の授業で扱ったバラエティ原稿のミラーリング(しかも4パターン分)を、完成させること。

ミラーリングのミの字もわからない新入生の私は恥ずかしながら、
ミラーリングをやるってどういうこと??
お手本の音源どおりの高さは出ない気がする…
みたいなことを授業終わりの質問タイムに質問しました。
それに対して、
「秒数まできっちりあわせてやるんですよ」
「とにかくやってみてください」
と答えてくださった大江戸さん。
答えていただいた言葉からだけでなく、その語気からも、
「プロの言う、やる、できる、って、そういうことだからね」
「自分でまずやってから考えるんだよ」
という意味がひしひしと伝わって来て、自分のスタンスの甘さを痛感しました。
それが17期秋の一番最初の授業で私が得たものでした。

コアの授業も並行で受けながら、発声や滑舌さえまだまだの私が、このミラーリングを本当にできるんだろうか?と、
12月まではずっと内心ヒヤヒヤしていました。

ミラーリングの取り組み方としては、コアの藤本さんの授業で教わった手順に乗っ取って、お手本の音源を聴きながら、まずは全体をざっくり聞いて、どんな感情の流れで読まれているかを書き込みました。 次に、一文の中にどんな表情がいくつ入っているかを細かく聴き取って、書き込む。
次に、語頭がどんな感じで入っているか、そして、堀場さんの授業で教わった、語尾の↑↓・―をチェックする。
お手本の音域は私よりも高い声で、基本的に全部カスカスの裏声になってしまうけど、最初は裏声で練習しました。
そして私は今は高い音域よりも低い音域の方が武器にしやすいので、これを自分の音域に持ってくる、という感じにしました。
けれど、この順番ですんなりできたわけではありません。
読んでみて、録ってみて、「あ、でき…てないなぁ」「うーん違うなぁ」って、何度も何度もそれでした。
なんども手順をさかのぼりました。

大江戸さん「思った2倍やるべし。金のかかってるバラエティらしい華やかさだよ」
具体的にはやはりまずは、表情が大きくはっきり出ていることは最低限だよなぁ、
でも表情出てないなぁ
なんなら1音目が♭で不吉な音になってるときもあるなぁ汗
私、大きな声ばっかり出して時々喉がイガっとしたりもするけど、それって表情って方に体が使えてないのかも。もっと力抜いたらどうだろう、とか。

「なんか…出来てる風なだけで違う気がするんだけどな…みんなもっと声が前に出ているよなぁ…そもそも読みだす瞬間のテンションのかけ方なのかな」とか。 音源を聞きなおすだけじゃなくて、授業の録音に残っている、上手なクラスメイトの読む様も時には聞いてみたり。

「朝・ゴールデン・引き・めちゃくちゃ、とりあえずできてきた気はするけど、ゴールデンぽさって何?ゴールデンが一番しょぼくなっちゃダメじゃない?!」って混乱もしたり…

やりながら、自分のやり方の浅さに気づき、それを少しずつ埋めていく感じです。
たぶん、頭のいい人は、ここで優先順位が狂わないんだと思うのですが、頭の良くない私は行ったり戻ったりして俯瞰しなおして、って感じでした。

そして、ミラーリングだけではなくて提案もしなきゃいけない(これはどの授業においてもそう)なので、ミラーリングのまま残す部分と、自分の音域で表現しやすい部分を混ぜて、また構成を考えたりもしました。 (この判断もすごく重要な鍛錬だと思います…結局、相手に伝わったものがすべてなので)

実際に授業でゴールデンを読んでみた結果は…
ほかのクラスメイトと比べたら本当にまだまだの出来ですが、少なくとも過去の自分からは変化できたと思います。

でもその後大江戸さんから「じゃあ次は高級感のある、でもやわらかさもある感じで読んでみて」と言われた瞬間、
「ああ…私なんでその系統のミラーリングを今までしようと思わなかったんだろう、ていうか、それの方がシンプルにゴールデンだったな…」と猛烈に反省しました。

さらに「じゃあ自分で取り汲んでるナレーターの読み+嘘だろ?って読みを入れて読んでみて」と言われました。、
「嘘だろって何!?意味が分からないw」と頭がポーンとなりながら読みました(笑)
この、嘘だろ?というのは、「いや、そんな驚かないでしょ…そこまで大げさなリアクションはさすがに噓でしょww」の意の、嘘だろ?です。
「原稿の言葉を多少変えてしまってもいいから、これを1~2か所(基本的に少なめ)に入れると、ぐっと視聴者の耳を引き、臨場感も出て、面白くなる。構成作家さんが書かれた原稿は基本的に変えないが、ディレクターさんが書かれたものはこういうのを入れるようにしている。音的にノイズでも表現として唐突すぎて人工物でも、駆使して、視聴者の耳をこっちに向けさせるのがナレーターの生きる道。」

うわぁそんな風に考えたことなかった…
きれい読むとか、いい声で読む(もちろんうわべの意味ではなく)事ばかり考えていたけど、聴く人の耳を引く、確かにそれが本質だ… それは、どんな音も武器としての価値を見出すことができるということでもあるし、
原稿を読むときの在り方としても、何かをぶち破ろうとするときに相応しいスターティングポーズだなと思いました。

大江戸さんは、それぞれの経歴や習熟度、バーズで今何期目なのかを踏まえて、評価やコメントをしていきました。
17期秋がスタートしてからだいぶたって、クラスメイト達から授業内外で、どんなことが自分の今の悩みかを聞く機会もたくさん経てきて、その悩みにかなりダイレクトに効いた授業だったのではないかと、クラスメイトの表情を見て、私は感じました。

あと、大江戸さんの絶妙なプレッシャーのかけ方で、
「むこうみずに突飛なことをやるわけではなく、でも、安パイを切らずに提案しよう、思いっきりやれ、それがバラエティだよ」ってことがちょっとだけ体感できた気がしました。(だからみんな「勇気をもらった」「バラエティを好きになった」と口々に言っていた)

「ここで2年やってダメならもう終えるつもりで、ちゃんとやること」
アジじゃなくて、クジラを獲って食べるために、真剣に考え抜いて、今日からまた頑張ります。

ありがとうございました。