建物から一歩外に出た瞬間、全身で湿度の重量を感じる今日この頃。
「この湿気、何かに有効活用できないだろうか」と、ぼんやりした頭でぼんやり考えてみましたが、特に何も思いつきませんでした。 20期・春コアの杉田です。
さて今回は、墨屋先生による「フラットストレート2」の授業を振り返ってみたいと思います。
繰り返しストレートの重要性を教えてくださった墨屋先生の今期最後の授業。
心なしか、生徒のみなさんの表情もいつもより少し引き締まっているように感じました。
授業冒頭、先生がまず話してくださったのは、授業の受け方についてでした。
「質問を作ろうと思いながら授業を受けてほしい。」
質問を作れる人は、意外と少ないそうです。
授業やアフターでは、何か一つでも疑問を解消して帰ってほしい。
自分が本当に知りたいことを知ることができるので、質問することはとてもお得なのだと仰っていました。
とりあえず何でも一度飲み込んでしまうタイプの私には、なかなか耳の痛いお話。
いつもより、ペンを握る手に力が入ります。
まずは、これまで教えていただいたストレートについての振り返りから。
改めてストレートはナレーションの基礎。
重要なのは、自分という楽器を、どう鳴らすか。
ストレートの技術だけでなく、その土台となる楽器、つまり自分の声そのものを鍛えることが欠かせません。
先生曰く、ストレートの印象を大きく左右するのは、
・楽器
・アクセントを置く場所
読み手が無意識に頑張っている場所には、自然とアクセントがついてしまうそうです。
余計なことをせず、最初の一声からかっこいい。
そんな状態を目指す必要があります。
そして、印象的だったのが、
最初の音で、そのボイスサンプルを聞き続けてもらえるかが決まる。
というお話でした。
声に関しては、
「最後まで聞いたら、だんだん良く思えてきた」
ということはない。
だからこそ、第一声の発声や響きが重要なのだそうです。
ナレーターにとって、第一声は想像以上に大きな意味を持つのだと感じました。
そして、ニュースというと、抑えた淡々とした読みをイメージしがちですが、実際には私たちが思っている以上にしっかり発声しているとのこと。 ニュアンスを作り込みすぎるのではなく、
フラットな状態で、最初からしっかり走るエネルギーを持つ。
この感覚が大切なのだそうです。
さらに、ナチュラルボイスとは、何もストレスがかかっていない状態。
声を前に出すということは、前方だけではなく横にも広げること。
空間全体を意識して響かせることが重要とのことでした。
そして先生は、
良い声で、フラットに、ストレートに読む。
これこそが「ダイヤモンドボイス」だと表現されていました。
授業では、事前にいただいた原稿を一人ずつ読んで録音。
改めて録音を聞いて、先生から丁寧にフィードバックをいただきました。
その中でも特に印象に残ったものをまとめます。
頭を丁寧に読みすぎると、念を押しているように聞こえてしまう。
まずはフラットであること。
癖が出ると、ストレートではなくなります。
さらに、ニュースの内容が大きいから表現も大きく、小さい話題だから小さく、という単純な読み分けもしない。
ストレートは引き算。
まずフラットにできるようになってから、個性や癖を必要なだけ足していく。
この順番が重要なのだそうです。
句読点があるからといって、必ずそこで休む必要はありません。
むしろ休んだ後に音程が変わることで、
「ここから意味が変わったのかな?」
と聞き手に誤解を与えてしまうことがあります。
休んだとしても、同じ高さから再開すれば、一本のストレートとしてつながって聞こえる。
句読点を読むのではなく、
文章の流れを読む。
ということなのだと思います。
先生曰く、
20秒ほどの一行なら、強調は一回あるかないかくらい。
強調点が多くなると、すべてが重要に聞こえてしまい、結果として何も立たなくなります。
これまで「ちゃんと伝えなければ」と、あれもこれも立てがちだった自分にはかなり刺さる言葉でした。
ナレーターは、
常に原稿の先、文意、そしてゴールを見ながら走る。
ゴールがわかっていれば勢いが出る。
その勢いがあれば、視聴者を一緒に連れていける。
すっと聞ける心地よいリズムは、細かく止まりすぎない。
だからこそ、どこで息を吸うかは非常に重要です。
息継ぎの位置は設計図。
下読みの段階で、自分がどこで息を吸うかを決めておく。
自分の都合で文章を切らないためにも、呼吸そのものを増やしていく必要があります。
休むところでは休む。
進むところではしっかり進む。
そのメリハリを持ちながら、前へ進む勢いを失わないことが大切とのことでした。
波形にも届く声が現れる
先生は、録音した音声の波形を見ることの重要性についても教えてくださいました。
しっかり声を出せていれば、波形にも安定して現れます。
存在感のある声を作るためにも、波形を確認しながら、一定した音を出せるよう練習することが有効なのだそうです。
理想は普通にしゃべっているように聞こえること
そして先生が目指してほしいと仰ったのが、
普通にしゃべっているように聞こえるナレーション。
日常のしゃべりそのものが素敵であれば、そのままナレーションにもつながる。
だからこそ、
・語頭をしっかり出す
・普通の人の感性を持つ
・誰かに話す意識を持つ
・絵を浮かべながらしゃべる
普通のおしゃべりこそ、一つのお手本なのだそうです。
まずは、
自分の基準となる音を、いつでも出せるようにする。
その上で、自分の魅力的な声を使って聞かせる。
それがストレート。
そして先生から出た言葉が、
「ストレートは一生。」
シンプルですが、とても重い言葉です。
ストレートを美しいと感じられるかどうかは、美意識の問題でもあるとのこと。
先生は料理に例えてくださいました。
良い素材に塩だけをかけて食べて、おいしいと思えるか。
素材そのものの良さを感じるためには、そもそも良い味を知らなければなりません。
ナレーションも同じ。
おいしいものを食べるように、
おいしい音を聞く。
トッププレイヤーの音をたくさん聞き、短い部分から繰り返し真似してみる。
違いを誰かに聞いてもらい、その差を少しずつ埋めていく。
完全に同じになれなくても、最高級の人へ近づこうとするだけで、自分のレベルは確実に上がっていく。
まずは耳を育てることが大切なのだと教えていただきました。
呼吸の上に、言葉をまっすぐ乗せる
ストレートの理想は、
呼吸が途切れず、その上に言葉がまっすぐ乗っている状態。
呼吸が言葉を下から支えている。
その状態で、最初からしっかり走る。
最後に、今回特に心に残った言葉があります。
呼吸するように話すことが、ストレートの目標であり王道。
簡単そうに聞こえる。
でも、
一生かけて取り組む技術。
どれだけ余計なことをせずに、長い文章をまっすぐ読めるか。
まずは5文字。
そこから少しずつ距離を伸ばしていく。
なるべく一つのまとまりを保ったまま読める声の筋肉を作ることで、こなれたナレーションにつながっていくのだそうです。
最後に
今回の授業を通して改めて感じたのは、
ストレートとは「何もしない読み」ではなく、
余計なことをせずに、必要なことをすべてやる読み。
なのだということでした。
良いものを聞き、
良い耳を育て、
自分という楽器を整え、
呼吸の上に言葉をまっすぐ乗せる。
そして、自分の魅力的な声で聞き手を最後まで連れていく。
まだまだ簡単にはできませんが、
「ストレートは一生」
という言葉を胸に、エレガントなストレートナレーションを目指してこれからも積み重ねていきたいと思います。
先生は実に丁寧にわかりやすく比喩を用いて教えてくださるので、授業中に質問が解消してしまい、質問がなくなってしまいましたが、 学んでいく上で質問が生まれたときには
ぜひ質問したいと思います。
墨屋先生、貴重なご指導ありがとうございました!